アイスクリームのポジショニング分析 第5回:ポジショニングマップ例(2)と考察

解説記事
     

夏の暑い日に食べる冷たいアイスはやっぱり最高(もちろん冬に暖かい部屋で食べるアイスもたまりません)。スーパーやコンビニなどにもさまざまな製品が並んでいますが、それぞれの「違いをパッとひと目で比較する」ために、ポジショニングマップを使った分析を行いました。

前回(第4回)は、アイスクリームの4つのポジショングループについて解説しました。今回(第5回)は、別タイプのポジショニングマップ例をご紹介し、そこからどのようなことが考えられるのかを考察してみたいと思います。

アイスクリームのポジショニング分析:記事一覧

第1回:分析概要
第2回:ユーザーが重視している特長・効果
第3回:ポジショニングマップ例(1)と表示項目の説明
第4回:4つのポジショングループについて
第5回:ポジショニングマップの例(2)と考察 ☜今回

出典:「ポジショニング分析レポート<アイスクリーム編>」調査実施:2023年6月、全66ページ

今回紹介するのは、個別の製品の“強み”に注目したポジショニングマップです。

言わば、一つの製品に“えこひいき”するような視点で作成しているマップなのですが、そこから今現在の”強み”を伸ばす策や、弱点を強化するアイデアなどを考察することができます。

ここでは、分析対象となったアイスクリーム7製品の中で最もシェア(ユーザー数)が多かった「森永製菓 チョコモナカジャンボ 150ml」(以下「チョコモナカ」と略称記載)を例に取り上げて説明したいと思います。

製品名称は調査時点(2020年6月)のものです。


1.「チョコモナカ」の特長まとめ

ポジショニングマップを見る前にまず、「チョコモナカ」の特長をまとめておきたいと思います。

下のグラフは、アンケート調査からわかった「チョコモナカ」の“好意/魅力点”のランキングです。「チョコモナカ」のユーザーに、「気に入っている点」「良いと思っている点」などをコメントしてもらい、独自の仕分けルールで要素を集計し、多い順に並べています。

【好意/魅力点TOP5】
上位に挙がったのは「食感」「美味しい」「素材の特長」「使い勝手が良い」「サイズ・量」です。

順位項目コメント例
1位「食感」“チョコがパリパリしている” “モナカがパリパリ/サクサクしている” など 
2位「美味しい」“美味しい/おいしい” “(チョコ/アイス/モナカ)がおいしい” など
3位「素材の特長」“チョコとアイスのバランスが良い” “チョコに厚みがある” など
4位「使い勝手が良い」“割ってシェアできる” “手が汚れない” など
5位「サイズ・量」“ボリュームがある” “ちょうど良いサイズ” など

【他製品との比較】
1〜5位の各項目の数値(青の棒グラフ)を7製品全体の平均(グレーの棒グラフ)と比較してみると、「食感」「素材の特長」の項目が全体平均を大きく上回っています(赤い丸印)。これらの2項目は「チョコモナカ」の特に強い特長であると考えられます。

詳しくはレポート本誌(有料)をご参照ください。「ポジショニング分析レポート<アイスクリーム編>」 調査実施:2023年6月、全66ページ

2.「チョコモナカ」のポジショニングマップ例

以上を踏まえて、「チョコモナカ」の“強み”に注目したポジショニングマップ例を見てみましょう。
なお、「チョコモナカ」以外の各製品を示す円には、上から順にA〜Fを割り当てています。

このポジショニングマップでは、縦軸・横軸ともに“製品スペック”に関する要素を比較しています。

【縦軸】
上側が「素材の特長」、下側が「味の特長」です。

 「素材の特長」・・・素材の組み合わせ、分量、製法 など
 「味の特長」・・・味が良い/好き、甘さ、さっぱり/コクがある など

「チョコモナカ」は「素材の特長」について、“チョコとアイスのバランスが良い” “チョコレートに厚みがある”などのコメントが多く見られたため、縦軸の上部に位置しています。

【横軸】
左側が「食感(口当たり)」、右側が「食感(歯ごたえ)」です。

 「食感(口当たり)」・・・口溶けが良い、なめらか、クリーミー など
 「食感(歯ごたえ)」・・・パリパリ、サクサク、歯ごたえがある など

「チョコモナカ」は「食感(歯ごたえ)」について、 “パリパリしている” “サクサクする”などのコメントが非常に多く見られたため、横軸の最も右側の位置になりました。

【吹き出し部分】
「チョコモナカ」のマップ上の位置を、コメント内容なども交えてワンフレ ーズにまとめたのが、

「チョコもモナカもパリパリ!アイスとのバランスも良い」

です。

詳しくはレポート本誌(有料)をご参照ください。「ポジショニング分析レポート<アイスクリーム編>」 調査実施:2023年6月、全66ページ

3. ポジショニングマップから見る機会と脅威(考察)

出来上がったポジショニングマップからは一体どのようなことが言えるのでしょう?あくまでもマップの状況のみから考えうる考察の一例ではありますが、記してみたいと思います。

(1) 「チョコモナカ」の強みと成長方向性

「チョコモナカ」はアイスクリーム7製品の中では、独特かつ強い位置付けにあります。

「チョコモナカ」は、マップ右上の「素材の特長」×「食感(歯ごたえ)」のエリアにありますが、その他の製品の多くは「チョコモナカ」とは反対側の「味の特長」や「食感(口当たり)」寄りにあります。

製品数で比較すると右上エリア「素材×歯ごたえ」の位置付けは少数派と言えます。しかしながら「チョコモナカ」の円のサイズ(シェア)が7製品の中で最大となっていることにも注目です。

つまり、「チョコモナカ」はアイスクリーム製品の中で、「素材×歯ごたえ」という独特のカテゴリーを築き、なおかつアイスクリームを代表するシェアを持っています。競合製品が容易に近づけない、強力な立ち位置です。

「チョコモナカ」は今後どのように発展していくとよいのでしょう?

一つの方向性として考えられるのは 「現状を維持‧強化する」です。独自ポジション と大きなシェアを守り発展させていくことが効率的でかつリスクの少ない成長方法である、という考え方 です。

マップではさらに右上を目指していく方向性で、

  • 素材にさらにこだわる
  • 歯ごたえ感をさらにアップする


などが考えられます。

(2) 「味+口当たり」派 vs. 「素材+歯ごたえ」派

上記でも少し触れていますが、アイスクリーム全体にあてはまる傾向としては、「味+口当たり」派「素材+歯ごたえ」派の2つに分かれている様子が見られます。


「味+口当たり」派 vs. 「素材+歯ごたえ」派
  • 左下:「味+口当たり」派・・・味にコクがあり、なめらか/クリーミー。
  • 右上:「素材+歯ごたえ」派・・・素材の量や形状に特色があり、パリパリ/サクサクしている。

全体としては「味+口当たり」派の方が製品数も合計シェアも多く、アイスクリーム市場の主流です。一方「素材+歯ごたえ」派には、競合製品が少ないので目立ちやすいというメリットがあります。

今後、新たなアイスクリーム製品を開発したり販売方法を検討する際には、主流の「味+口当たり」派でいくか、少数派の「素材+歯ごたえ」派でいくのか、を意識することで、新たな施策のヒントが見つかるかもしれません。

まとめ

以上が、アイスクリームの別の種類のポジショニングマップ例と考察です。現状の強みが確認できたり、今後のチャンスをさぐるヒントとして使えたりすることがイメージできたでしょうか?

第5回は以上になります(これが最終回です)。

最後になりますが、これまで5回にわたり、アイスクリームのポジショニングマップ分析について解説してきました。少しややこしい部分もあったかもしれませんが、ポジショニングマップ分析がどのようなものなのか、そしてどのように活用できるのかが、ぼんやりとでも伝われば嬉しく思います。

なお、「他の製品はどうなっているの?」「もっと他のパターンのポジショニングマップを見たい」「調査データを詳しく知りたい」など思われた方は、ぜひ下記のリンクより有料レポートをご活用ください。全20種類以上のポジショニングマップ例を調査結果の詳細とともに掲載していますので、さまざまな視点からヒントを得られることと思います。

記事内容を引用する場合は、出典(“日本ポジショニング・マップ研究所調べ”やURLなど)を記載いただきますようお願い申し上げます。


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