チョコレート菓子のポジショニング分析 第5回:ポジショニングマップの例(2)と考察

解説記事
     

おやつや間食、疲れている時などに口にするチョコレート菓子。スーパーやコンビニなどにはさまざまな商品が並んでいますが、それぞれの「違いをパッとひと目で比較する」ために、ポジショニングマップを使った分析を行いました。

前回(第4回)は、チョコレート菓子の4つのポジショングループについて解説しました。今回(第5回)は、別タイプのポジショニングマップ例をご紹介し、そこからどのようなことが考えられるのかを考察してみたいと思います。

チョコレート菓子のポジショニング分析:記事一覧

第1回:分析概要について
第2回:ユーザーが重視している特長と効果
第3回:ポジショニングマップの例(1)と表示項目の説明
第4回:チョコレート菓子のポジショングループについて
第5回:ポジショニングマップの例(2)と考察 ☜今回

出典:「ポジショニング分析レポート<チョコレート菓子編>」調査実施:2021年3月、全90ページ

今回紹介するのは、個別の製品の“強み”に注目したポジショニングマップです。言わば、一つの商品に“えこひいき”するような視点で作成しているポジショニングマップですが、そこから今現在の”強み”を伸ばす策や、弱点を強化するアイデアなどを考察することができます。

ここでは、分析対象であるチョコレート菓子10商品の中で最もシェア(ユーザー数)が多かった「アーモンドチョコレート 88g」(以下「アーモンド」と略称にて記載)を例に取り上げて説明したいと思います。

製品名称は調査時点(2020年3月)のものです。


1.「アーモンド」の特長まとめ

ポジショニングマップを見る前にまず、「アーモンド」の特長をまとめておきたいと思います。

下記のグラフは、アンケート調査結果からわかった「アーモンド」の“好意/魅力点”です。「アーモンド」のユーザーに、「気に入っている点」「良いと思っている点」などをコメントしてもらい、独自の仕分けルールで要素を集計し、多い順に並べています。

調査数が少ないため、数値はあくまでも参考値となります。

「アーモンド」の好意/魅力点として上位に挙がったのは、「美味しい」「素材」「食感」「味」「香り」です。

  • 1位:美味しい・・・「美味しい」「(素材、食感などが)美味しい」など
  • 2位:素材・・・「アーモンド(が美味しい)」「素材が良質」など
  • 3位:食感・・・「カリッとしている」「歯ごたえ/噛みごたえが良い」など
  • 4位:味・・・「甘さがいい」「甘さ控えめ」など
  • 5位:香り・・・「(カリッと)香ばしい」「香ばしさが好き」など

そして、1〜5位の各項目の数値(青の棒グラフ)を10商品全体の平均(グレーの棒グラフ)と比較してみると、「素材」「食感」「香り」が全体平均を上回っています。特に、「香り」は全体平均との差が大きくなっており(赤い丸印)、他の商品に比べても強い特長であることがわかります。

以上をまとめると、「アーモンド」の特に強い特長は「素材」「食感」「香り」で、これらはすべて素材のアーモンドとアーモンドから発生すると思われる要素(歯応えや香ばしさなど)となっています。

詳しくはレポート本誌(有料)をご参照ください。「ポジショニング分析レポート<チョコレート菓子編>」調査実施:2021年3月、全90ページ

2.「アーモンド」のポジショニングマップ例

上記の特長を踏まえて、「アーモンド」の“強み”に注目したポジショニングマップ例を見てみましょう。なお、「アーモンド」以外の各商品を示す円には、上から順にA〜Iを割り当てています。

第3回の記事で紹介したものと同じマップになります。

このポジショニングマップでは、縦軸で“ユーザー属性”、横軸で“商品特長”の種類を比較しています。

縦軸】
上側が「女性」、下側が「男性」です。ユーザー属性を比較しています。

「アーモンド」は男性ユーザーの割合が10商品中唯一、女性ユーザーの割合を上回りました。そのため、最も下側の「男性」寄りに位置しています。

【横軸】
左側が「外形的特長」、右側が「味覚的特長」です。

 外形的特長・・・「サイズ」や「数量」「形状」など、外から見える特長
 味覚的特長・・・「味」や「食感」「香り」など味覚に関わる特長

「アーモンド」では「食感」と「香り」が他の商品よりも高く評価されています。よって横軸の位置は右側の「味覚的特長」寄りになっています。

【吹き出し部分】
「アーモンド」は右下の「男性」&「味覚的特長」寄りの位置です。これをワンフレーズにまとめたのが、

「カリッと香ばしく、男性ユーザー多い」

です。

詳しくはレポート本誌(有料)をご参照ください。「ポジショニング分析レポート<チョコレート菓子編>」調査実施:2021年3月、全90ページ

3. ポジショニングマップから見る機会と脅威(考察)

出来上がったポジショニングマップからは一体どのようなことが言えるのでしょう?あくまでもマップの状況のみから考えうる考察の一例ではありますが、記してみたいと思います。

(1)「アーモンド」の強みと成長方向性

10商品の中で最大のシェアを持つ「アーモンド」の強みは意外にシンプルです。

カリっとした「食感」も「香ばしさ」も、全ては素材の「アーモンド」にまつわるもの。手の込んだレシピでも複雑な配合でもなく、シンプルに「素材」が強みの源泉となっているようです。

また、男性ユーザーの割合が多い点も興味深いです。なぜそうなっているのかは、もう少し詳しく調べる必要がありますが、理由はさておき、これによってチョコレート菓子7製品の中では異色の存在となっています。

「アーモンド」の今後の方向性として考えられるのは「現状を維持・強化する」です。「アーモンド」はすでに独自のポジションと大きなシェアを保有しているため、これをしっかり守ることに注力する、という考え方です。

マップでは、さらに右下を目指していく方向性で、

・アーモンドを極めていく
・男性ユーザーの受けをさらに良くする

などが考えられます。

(2)ユーザーの性別と商品特長タイプの関係

チョコレート菓子全体にあてはまる傾向としては、

 ・商品の「外形的特長」は、「女性」ユーザーに評価されやすい
 ・商品の「味覚的特長」は、「男性」ユーザーに評価されやすい

という関係性が見られます。

これは、ポジショニングマップ上の商品が全体的にに左上から右下に斜めに並んでいることから推察されるものです。

このことから、お菓子の形状や商品のパッケージなどの外形的な特長は女性ユーザーに好まれ、逆に味や食感などの味覚的な特長は男性ユーザーに好まれる傾向がある、と考えられます。

ターゲットとするユーザー性別に合わせた商品やパッケージ開発等のヒントにしてみても良いかもしれません。

詳しくはレポート本誌(有料)をご参照ください。「ポジショニング分析レポート<チョコレート菓子編>」調査実施:2021年3月、全90ページ

まとめ

以上が、チョコレート菓子の”個別の商品特長”に注目したポジショニングマップ例と考察です。「アーモンド」に注目して作成したポジショニングマップから、現状の強みが確認できたり、「アーモンド」に限らず今後のチャンスをさぐるヒントを探るために使えることがイメージできたでしょうか?

第5回は以上になります(これが最終回です)。

最後になりますが、これまで5回にわたり、チョコレート菓子のポジショニングマップ分析について解説してきました。少しややこしい部分もあったかもしれませんが、ポジショニングマップ分析がどのようなものなのか、そしてどのように活用できるのかが、ぼんやりとでも伝われば嬉しく思います。

なお、「他の製品はどうなっているの?」「もっと他のパターンのポジショニングマップを見たい」「調査データを詳しく知りたい」など思われた方は、ぜひ下記のリンクより有料レポートをご活用ください。全20種類以上のポジショニングマップ例を調査結果の詳細とともに掲載していますので、さまざまな視点からヒントを得られることと思います。

記事内容を引用する場合は、出典(“日本ポジショニング・マップ研究所調べ”やURLなど)を記載いただきますようお願い申し上げます。


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