ヨーグルトのポジショニング分析 第5回:ポジショニングマップの例(2)と考察

健康や腸活、ダイエットなどで毎日食べている人も多いヨーグルト。スーパーやコンビニなどにはさまざまな商品が並んでいますが、それぞれの「違いをパッとひと目で比較する」ために、ポジショニングマップを使った分析を行いました。

前回(第4回)は、ヨーグルトの5つのポジショングループについて解説しました。今回(第5回)は、別タイプのポジショニングマップ例をご紹介し、そこからどのようなことが考えられるのかを考察してみたいと思います。

ヨーグルトのポジショニング分析:記事一覧

第1回:分析概要について
第2回:ユーザーが重視している特長と効果
第3回:ポジショニングマップの例(1)と表示項目の説明
第4回:ヨーグルトのポジショングループについて
第5回:ポジショニングマップの例(2)と考察 ☜今回

※ 出典:「ポジショニング分析レポート<ヨーグルト編>」2020年11月


今回紹介するのは、個別の商品の“強み”に注目したポジショニングマップです。言わば、一つの商品に“えこひいき”するような視点で作成しているポジショニングマップですが、そこから今現在の”強み”を伸ばす策や、弱点を強化するアイデアなどを考察することができます。

ここでは、分析対象のヨーグルト6商品の中で最もシェア(ユーザー数)が多かった「明治ブルガリアヨーグルト LB81 プレーン 400g」(以下、「ブルガリア」と略称記載)を例に取り上げて説明したいと思います。

製品名称は調査時点(2020年11月)のものです。

目次

1.「ブルガリア」の特長まとめ

ポジショニングマップの前に、「ブルガリア」の特長をまとめておきたいと思います。

下記のグラフは、アンケート調査結果からわかった「ブルガリア」の”好意/魅力点”です。「ブルガリア」のユーザーに、「気に入っている点」「良いと思っている点」などをコメントしてもらい、独自の仕分けルールで要素を集計し、多い順に並べたものです。

調査数が少ないため、数値はあくまでも参考値です。

「ブルガリア」の好意/魅力点として上位に挙がったのは、「食べ慣れている」「美味しい」「味」「価格」「定番・王道」です。

  • 1位:食べ慣れている・・・「昔から食べている」「いつも買っている」など。
  • 2位:美味しい・・・「美味しい」「(味が)美味しい」など
  • 3位:味・・・「味が好き」「食べ慣れた味」「クセがない」など
  • 4位:価格・・・「特売がある」「お得感がある」など
  • 5位:定番・王道・・・「ど定番で探しやすい」「メジャーである」など

次に、1〜5位の各項目の数値(青の棒)を6商品全体の平均(グレーの棒)と比較してみます。すると、「食べ慣れている」が全体平均を大きく上回っていることがわかります(赤い丸印)。「食べ慣れている」は、他の商品と比べても非常に強い特長であるようです。

「ブルガリア」の特長は「美味しい」や「味」もありますが、最大の特長が「食べ慣れている」で、これは他の商品との大きな違いにもなっています。

詳しくはレポート本誌(有料)をご参照ください。ポジショニング分析レポート<ヨーグルト編>|調査実施:2020年11月、全51ページ

2.「ブルガリア」のポジショニングマップ例

以上を踏まえて、「ブルガリア」の“強み”に注目したポジショニングマップ例を見てみましょう。なお、「ブルガリア」以外の各商品を示す円には、上から順にA〜Eを割り当てています。

このポジショニングマップでは、縦軸では商品を利用する際に感じられている“メリット・効果感”に関する要素を、横軸ではユーザー属性を比較しています。

【縦軸】
上側が「習慣性」、下側が「価格の安さ/手頃感」です。

前出の特長まとめにもあったように、「ブルガリア」の最大かつ他社と大きく異なっている特長が「食べ慣れている」でした。「食べ慣れている」を軸名として短く言い換えたのが「習慣性」です。「ブルガリア」の「習慣性」に対する評価を表す縦軸の位置は、最も上側になります。

【横軸】
左側が「若年層」、右側が「中高年層」です。

アンケート調査において、「ブルガリア」ユーザーの平均年齢は6商品の中で最も高かったため、横軸の位置は最も右側になっています。

以上をまとめると、「ブルガリア」の位置は右上の「習慣性」寄り&「中高年層」寄りの場所です。これをワンフレーズにまとめると、

「中高年層を中心に、習慣として食べ続けられているヨーグルト」(吹き出し部分)

となります。

詳しくはレポート本誌(有料)をご参照ください。ポジショニング分析レポート<ヨーグルト編>|調査実施:2020年11月、全51ペー

3. ポジショニングマップから見る機会と脅威(考察)

出来上がったポジショニングマップからは一体どのようなことが言えるのでしょう?あくまでもマップの状況のみから考えうる考察の一例ではありますが、記してみたいと思います。

(1)「ブルガリア」の強みと脅威

「ブルガリア」のブランド力の強さに驚きました。

商品特長よりも「食べ慣れている」という習慣で利用しているユーザーがとても多いです。そのため他の商品への気移り(ブランドスイッチ)が起きにくそうです。

一方、「ブルガリア」にとって脅威となるのは、ポジショニングマップ上では位置が近接している「商品A(水色の円)」です。「同じ中高年層をターゲットとしているため客を取り合う関係にあり、「習慣性」もブルガリアに次いで強いので、要注意の存在です。

しかしながら、「ブルガリア」と「商品A」のユーザー年齢層の分布が、同じ中高年層の中でも少し異なっていることにも注目できます。「ブルガリア」は60代以上が最も多く、「商品A」は30代〜60代が均等に分布しています。

両者のユーザー年齢層は微妙にずれているので、すぐにシェアを食い合うということはないと思われます。しかし長期的には、年齢分布の広い「商品A」がシェアを伸ばしてくるかもしれません。

(2) ヨーグルト全体の二分化傾向

ヨーグルト全体にあてはまる傾向としては、「ユーザー年齢層の二分化」の傾向が見られます。ポジショニングマップ上では、ブルガリアを含む商品A〜Eが左側と右側に二手にわかれています。

・左側「若年層派」・・・「商品B」「商品D」「商品E」
・右側「中高年層派」・・・「ブルガリア」「商品A」「商品C」

年齢層が二分化している理由は詳しく調べてみないとわかりません。しかし今後「現状のユーザー層を広げていきたい」などの目的がある場合に、「若年層」をターゲットとするのか?それとも「中高年層」をターゲットにするのか?という視点ヒントにして、商品内容や販促施策のやり方を考えることもできそうです。

詳しくはレポート本誌(有料)をご参照ください。ポジショニング分析レポート<ヨーグルト編>|調査実施:2020年11月、全51ページ

4. まとめ

以上が、ヨーグルトの”個別の商品特長”に注目したポジショニングマップ例と考察(感想)です。「ブルガリア」に注目して作成したポジショニングマップから、ブルガリアの強みや脅威だけでなく、市場全体の傾向も垣間見ることができたのではないでしょうか?

第5回は以上になります(これが最終回です)。

最後になりますが、これまで5回にわたり、ヨーグルトのポジショニングマップ分析について解説してきました。少しややこしい部分もあったかもしれませんが、ポジショニングマップ分析がどのようなものなのか、そしてどのように活用できるのかが、ぼんやりとでも伝われば嬉しく思います。

なお、「他の製品はどうなっているの?」「もっと他のパターンのポジショニングマップを見たい」「調査データを詳しく知りたい」など思われた方は、ぜひ下記のリンクより有料レポートをご活用ください。全20種類以上のポジショニングマップ例を調査結果の詳細とともに掲載していますので、さまざまな視点からヒントを得られることと思います。

記事内容を引用する場合は、出典(“日本ポジショニング・マップ研究所調べ”やURLなど)を記載いただきますようお願い申し上げます。


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日本ポジショニング・マップ研究所 分析レポート販売ページ

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