入浴剤のポジショニング分析 第5回:ポジショニングマップ例(2)と考察

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お風呂でのリラックスや疲労回復に欠かせない入浴剤。ドラッグストアなどに並んでいるさまざまな製品の「違いをパッとひと目で比較する」ために、ポジショニングマップを使った分析を行いました。

前回(第4回)は、入浴剤の4つのポジショングループについて解説しました。今回(第5回)は、別タイプのポジショニングマップ例をご紹介し、そこからどのようなことが考えられるのかを考察してみたいと思います。

入浴剤のポジショニング分析:記事一覧

第1回:分析概要
第2回:ユーザーが重視している機能・効果
第3回:ポジショニングマップ例(1)と表示項目の説明
第4回:入浴剤のポジショングループについて
第5回:ポジショニングマップの例(2)と考察 ☜今回

出典:「ポジショニング分析レポート<入浴剤編>」調査実施:2022年11月、全65ページ

今回紹介するのは、個別の製品の“強み”に注目したポジショニングマップです。

言わば、一つの製品に“えこひいき”するような視点で作成しているポジショニングマップですが、そこから今現在の”強み”を伸ばす策や、弱点を強化するアイデアなどを考察することができます。

ここでは、分析対象である入浴剤7製品の中で最もシェア(ユーザー数)が多かった「いい湯旅立ち にごり湯の宿」(以下「いい湯旅立ち」と略称にて記載)を例に取り上げて説明したいと思います。


1.「いい湯旅立ち」の特長まとめ

ポジショニングマップを見る前にまず、「いい湯旅立ち」の特長をまとめておきたいと思います。

下のグラフは、アンケート調査からわかった「いい湯旅立ち」の“好意/魅力点”のランキングです。「いい湯旅立ち」のユーザーに、「気に入っている点」「良いと思っている点」などをコメントしてもらい、独自の仕分けルールで要素を集計し、多い順に並べています。

「いい湯旅立ち」の好意/魅力点として上位に挙がっているのは、 「フレーバー」「湯色」「温泉/旅行気分になる」「組み合わせ・種類」「楽しめる」です。

 1位:フレーバー・・・「各地域の温泉(が楽しめる)」「温泉っぽい」など
 2位:湯色・・・「にごり湯が好き」「色がいい」など
 3位:温泉/旅行気分になる・・・「温泉に行った気分になれる」「現地の温泉気分(を楽しめる)」など
 4位:組み合わせ・種類・・・「いろいろな温泉/お湯(を楽しめる)」「種類が豊富」など
 5位:楽しめる・・・「(有名温泉地の温泉を)楽しめる」「(濁り湯なので)目でも楽しめる」など

そして、1〜5位の各項目の数値(青の棒グラフ)を7製品全体の平均(グレーの棒グラフ)と比較してみると、「湯色」「温泉/旅行気分になる」「組み合わせ・種類」「楽しめる」の項目で全体平均を大きく上回っています(赤い丸印)。これらは他の製品に比べても強い特長と言うことができます。

以上をまとめると、「いい湯旅立ち」の特に強い特長は 「湯色」「温泉/旅行気分になる」「組み合わせ・種類」「楽しめる」で、分析対象の7製品の中では、他の製品と異なる点を多くもつ個性的な製品であると考えられます。

詳しくはレポート本誌(有料)をご参照ください。ポジショニング分析レポート<入浴剤編> | 調査実施:2022年11月、全65ページ

2.「いい湯旅立ち」のポジショニングマップ例

上記を踏まえて、「いい湯旅立ち」の“強み”に注目したポジショニングマップ例を見てみましょう。
なお、「いい湯旅立ち」以外の各製品を示す円には、上から順にA〜Fを割り当てています。

このポジショニングマップでは、縦軸で製品を使用した際に感じられている“メリット・効果感”を、横軸で“製品スペック”に関する要素を比較しています。

【縦軸】
上側が「温泉/旅行気分になる」、下側が「温まる」です。

 温泉/旅行気分になる・・・「温泉に行った気分になれる」「観光気分を味わえる」など
 温まる・・・「ポカポカする」「湯冷めしにくい」など

「いい湯旅立ち」は「温泉/旅行気分になる」の評価が圧倒的に多いため、縦軸の最も上側に位置しています。

【横軸】
左側が「泡感」、右側が「湯色」です。

 泡感・・・「泡が出る」「シュワシュワする」など
 湯色・・・「色合いが良い」「(黄色/ブルー/白色などの)色が好き」など

「いい湯旅立ち」は 「湯色」について「濁り湯が良い」などの評価が非常に多く挙げられたため、横軸の最も右側の位置になりました。

【吹き出し部分】
「いい湯旅立ち」の位置は、 右上の「温泉/旅行気分になる」×「湯色」の場所です。これをワンフレ ーズにまとめたのが、

「濁り湯で、温泉気分を楽しめる」

です。

詳しくはレポート本誌(有料)をご参照ください。ポジショニング分析レポート<入浴剤編> | 調査実施:2022年11月、全65ページ

3. ポジショニングマップから見る機会と脅威(考察)

出来上がったポジショニングマップからは一体どのようなことが言えるのでしょう?あくまでもマップの状況のみから考えうる考察の一例ではありますが、記してみたいと思います。

(1)「いい湯旅立ち」の強みと成長方向性

「いい湯旅立ち」は7製品の中で、かなり独特かつ強力な位置付けにあるようです。

他の6製品とは、縦軸上も横軸上も反対の方向に寄っています。「いい湯旅立ち」がある第一象限(右上の領域)には他の製品が一つもなく、「温泉気分」×「湯色」というエリアを独占している状態です。

加えて「いい湯旅立ち」の円のサイズ(=シェア)は7製品中最大です。

つまり、「いい湯旅立ち」この7製品の中では競合製品に脅かされることのない独自ポジションを確立しており、さらにシェアも大きく、強力な立ち位置となっています。

「いい湯旅立ち」の今後の方向性として考えられるのは 「現状を維持‧強化する」です。独自ポジションと大きなシェアを守り発展させていくことが効率的でかつリスクの少ない成長方法である、という考え方です。

マップでは、さらに右上を目指していく方向性で、

 温泉を極める
 湯色を極める

などが考えられます。

(2) 「泡」と「色」の関係性

入浴剤全体にあてはまる傾向としては、

・「泡感」→「温まる」(「泡感」が強くなるほど、「温まる」効果が感じられやすい。)
・「湯色」→「温泉/旅行気分になる」
(「湯色」の特色が強くなるほど、「温泉/旅行気分」が高まる。)

という相関関係が見られます。

これは、ポジショニングマップ上の製品が全体的にに左下から右上に斜め一直線上に並んでいることから推察されるものです。

このことから、「温泉/旅行気分になる」などの情緒的な効果感が欲しい場合は「湯色」にこだわり、「温まる」などの物理的な効果感を求める場合は「泡感」高めると、より効果を感じやすくなる、と考えられます。

こうした傾向を参考に、製品の機能強化やパッケージの訴求方法などのヒントにしてみても 良いかもしれません。

まとめ

以上が、入浴剤の別の種類のポジショニングマップ例と考察です。現状の強みが確認できたり、今後のチャンスをさぐるヒントとして使えたりすることがイメージできたでしょうか?

第5回は以上になります(これが最終回です)。

最後になりますが、これまで5回にわたり、入浴剤のポジショニングマップ分析について解説してきました。少しややこしい部分もあったかもしれませんが、ポジショニングマップ分析がどのようなものなのか、そしてどのように活用できるのかが、ぼんやりとでも伝われば嬉しく思います。

なお、「他の製品はどうなっているの?」「もっと他のパターンのポジショニングマップを見たい」「調査データを詳しく知りたい」など思われた方は、ぜひ下記のリンクより有料レポートをご活用ください。全20種類以上のポジショニングマップ例を調査結果の詳細とともに掲載していますので、さまざまな視点からヒントを得られることと思います。

記事内容を引用する場合は、出典(“日本ポジショニング・マップ研究所調べ”やURLなど)を記載いただきますようお願い申し上げます。


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